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「領収書はスマホで撮ればOK?」「スキャンしたら、紙の原本はもう捨てていいの?」「経費精算システムを使っていれば、それで対応できているの?」そんな疑問にお答えすべく、第1回の「電子取引」、第2回の「帳簿・書類保存」に続き、最終回となる今回は『スキャナ保存』について解説します。電子帳簿保存法は、区分ごとに保存方法が異なりますが、共通して大切なのは「後から探せること」「正しく説明できること」「会計処理(仕訳)とつながっていること」です。
スキャナ保存とは?
スキャナ保存とは、紙で受け取った請求書、領収書、契約書などを、スキャナやスマートフォンで読み取り、データとして保存する制度です。要件を満たせば、紙の原本を廃棄し、データのみで管理できるようになります。
対象となるのは「国税関係書類」です。実務上は、次のように整理しておくとわかりやすいです。
- 重要書類:請求書、領収書、契約書、送り状 など
- 一般書類:見積書、注文書、検収書 など
なお、仕訳帳や総勘定元帳などの「帳簿」や、貸借対照表などの「決算関係書類」はスキャナ保存の対象外です(これらは第2回で解説した「電子帳簿等保存」の対象です)。この線引きを理解しておくと、実務での混乱を防げます。
実務の主流は、経費精算システムと会計ソフトの連動
スキャナ保存は、制度だけを見ると難しそうに感じるかもしれません。しかし実務では、単独で考えるより、経費精算システムや会計ソフトの運用とセットで浸透しているのが実情です。
たとえば、楽楽精算、freee、マネーフォワードなどのシステムでは、「スマホで撮影 → 申請 → 承認 → 会計ソフトへ仕訳連動」という一連の流れの中で、証憑の保存と会計処理を一体で回していきます。
大事なのは、単に画像を残すことではありません。保存した証憑が仕訳と結びついていることが重要です。そのため、スキャナ保存を考えるときは、「どう保存するか」だけでなく、「どう会計処理(仕訳)につなげるか」までセットで考えるのが基本になります。
通常の紙証憑まで含めるなら、制度の基本ルールも必要
ここはかなり大切なポイントです。経費精算システムに乗る立替経費だけでなく、会社に届く「紙の請求書」や「現場で受け取る領収書」まで含めてスキャナ保存を行う場合には、以下の基本ルールを整理しておく必要があります。
- 入力期間の制限(期限内に取り込めるか)
- 一定水準での読み取り(解像度・カラーなど)
- 訂正削除履歴が残るシステム
- 帳簿との相互関連性の保持(仕訳と画像が紐づいているか)
- 社内ルールや規程の整備
「システムで回っている領収書」と「それ以外の紙の証憑」は、同じスキャナ保存でも少し分けて考えたほうが、実務の設計がしやすくなります。
「2か月とおおむね7営業日以内」の期限を意識する
スキャナ保存で特に大切なのが「入力期限」です。実務上は、最長で「2か月とおおむね7営業日以内」に取り込める運用(業務処理サイクル方式)を作るのが現実的です。この期限を守るために、次の2つをセットで考えましょう。
1. 電子取引と同じ発想で規程を作る
第1回で解説した「電子取引」と同様に、事務処理規程(社内ルール)を整備することが重要です。別々に作るのではなく、「証憑の電子保存に関する共通ルール」としてセットで作るほうが、現場は運用しやすくなります。
規程には以下の項目を盛り込みます。
- どの書類を対象にするか
- 誰がいつまでに取り込み、誰が確認・承認するか
- どのタイミングで仕訳連動させるか
2. 運用フローの具体化
期限いっぱいで考えるのではなく、「月次締めから1週間以内には全て取り込む」など、自社の運用に合わせた少し余裕のあるルールを決めておくと、実務が安定します。「取り込み → 確認 → 承認 → 仕訳連動」までを一つの流れとして設計しましょう。
スキャナ保存で守っておきたい基本ルール
- 読める状態で保存する:四隅が写っているか、折れや影で文字(日付・金額・取引先)が隠れていないかを確認します。スマホ撮影でも「読める状態で残っていること」が最優先です。
- 検索できる状態にする:日付・金額・取引先で検索できる必要があります。クラウドシステムなら対応済みが多いですが、あとから探せるかは必ず確認しておきましょう。
- 内容確認後に原本を廃棄する:原本を捨てられるのは大きなメリットですが、「撮ったら即廃棄」は禁物です。画像が鮮明で、システムに正しく保存されたことを確認してから廃棄するのが安全です。
【この記事のポイント】
- スキャナ保存は紙をデータに変える制度(任意)
- 実務では、会計ソフトや経費精算システムとの「仕訳連動」が運用の肝
- まずは「2か月とおおむね7営業日以内」に取り込める業務フローを作る
- 第1回の電子取引と同じ発想で、事務処理規程をセットで整備する
全3回にわたって電子帳簿保存法を解説してきました。電子帳簿保存は経理効率とセットで見直す良い機会です。ぜひ私どもと一緒に経理の業務効率を考えていきましょう。
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